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2007年4月 6日 (金)

【Hexe】

Hexe (ヘクセ) ():魔女、鬼ばばあ、クソ婆 ・・・・・ 発音と意味を知って「ぶっ!」と吹き出した言葉のひとつ。ドイツでは、ぎっくり腰も魔女の仕業らしい(?)。

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魔女にもいろいろあります。サマンサやジニーみたいなのだったら良いんですが、うん、タバサでも良いですが、すべてがそうとは限らないのが世の常というものです。ファウストでも、ワルプルギスの乱痴気騒ぎの場面がありますが、そこでファウストが綺麗な魔女と楽しくやっていたら、「口からネズミが飛び出してきた」とげんなりしている場面があります。魔女だったらそれぐらい不思議ではないというものです。ファウストの覚悟が足りなかったと言うべきでしょうか。

とうとう電子辞書版も出たと言う、○学館の独和大辞典では、「魔女」のほか、「鬼ばばあ」とか、「妖婦」などという訳語もあります。まあ、「とんでもない女」というほどの意味にもなってしまうかも知れません。現に、この単語はドイツ製の夫婦喧嘩や痴話喧嘩では頻出単語のひとつです。

さて、Hexeと呼びたくなるような女、巷にはさぞかしいっぱいいることでしょう。ニュースなどを聞くと、もうそこら中にいるのではないかと思うのですが、つくづく思い返してみると、わたしの目の前にHexeが現れたのは、ずいぶん昔のような気がします。ここ数年、平和な気持ちで暮らしているせいかもしれません。気持ちが荒んでいるときは、荒んでいる人が寄ってくるものです。男が、「この女はHexeだ!」と思うとき、きっと彼はTeufelなのです。

さて、前置きが長くなりましたが、わたしが逢ったHexeというかクソババのお話。それは大井町の夜に出没したのです。いえ、正確に言うならば、出没したのはわたしの方だったのですがね。

以前の日記に、自由が丘→鷺沼→大井町深夜の彷徨事件について書いたことがありました。その時、わたしは「この次にKと飲むときは、大井町で飲もう」と心に誓ったのでした。そして、誓いの通りわたしは大井町でKと飲みました。以外と意志強固なわたしなのです。そして、飲み終えて後はホテルに帰るだけと思ったその時、思い出したのです。ホテルを予約していなかったことを。 _||

例によって約束ギリギリで大井町にやって来たわたしは、居酒屋からホテルに電話するしかないと思っていたのでした。部屋数は多いので、何とかなるはずだと思っていたのですが、飲み始めたらそんな考えはすっ飛んでいたのです。

駅前で友人Kを見送った後、ホテルに電話を入れてみたら、案の定満室でした。こうなったらカプホにでも泊まるしかないかな?と思いました。そして、翌日の行動を考えるのなら上野にでも行った方が良いのかも知れない。どうしようかな?と考えながら、酩酊状態の一歩手前で夜の大井町をぶらぶら流しておりました。こういうときって、結構気分の良いものなのです。すると、わたしの腕をつかむものが・・・・・

「あらぁ。いい男~♪ちょっとあたしのお店で飲んでいかない?」

これが黒木瞳のような美女だったら、わたしはその場で気絶していたかも知れませんが、そうではありませんでした。もう還暦近いのではないか?と思われるような「年齢をお重ねになった女性」でした。

この年齢で夜中に客引きとは天晴れ。

酒に酔っていて、しかも、当時わたしは訳あって結構「ヤケのヤンパチ」状態だったこともあって、年増相手に場末の酒場でぐでんぐでんになるまで飲み明かすと言う、阿呆な時間の過ごし方にも興味を覚えました。もしその状態で詩でも書いたら、きっと中原中也の上を行くダダな作品が書けたかも知れません。(愚痴でも言ってやろうかな?)などと思ったりもして、誘われるままにその「年齢をお重ねになった女性」についていったのでした。店はすぐ近くでした。5坪もあるだろうか?と言う小さな店でしたが、店内には人がすでに3名いました。ただし、全員カウンターの中に。

敬老会か?とでも言うような顔ぶれでした。いちばん若いのでも50才は超えていると見ましたね。いや、別に誰かを取って喰おうとか、取って喰われようとかいう話でもないので、年齢はどうでも良かったのですが、おばはん4名というのはキビシイものがありました。まず、ヤカマシイ。「ひ~と~り、酒場でぇ~、飲~むぅさ~~~~けはぁ~~♪」なんて境地とはほど遠く・・・・・来てしまったので仕方なく、水割りを1杯所望すると、「じゃあ、わたしも頂くわ~」と4名がそれぞれ1杯ずつ召し上がったので、5杯飲んだことになるのだというのに気付くのに315秒ぐらいはかかったでしょうか。連中も考えています。よく見ると、4名いる中の「いちばん綺麗な子」が客引きに出てきていたのでした _||

お代わりをする前に脳の一部が正気に戻ったわたしは、すぐに店を出ました。11000x55000円が、ダダな時間への幻想の代償。中也を超える詩は生まれず、終電も行ってしまった大井町で、わたしは翌日の行動を考えて、タクシーを拾って上野のカプセルホテルに駆け込みました。タクシー代金、およそ5000円かかったでしょうか?

翌朝目覚めて、カプホ近くの喫茶店でモーニングサービス(懐)を食べているとき、ふと思ったのですが、何故、昨晩あのまま大井町か大森あたりののカプホに泊まらなかったのでしょうか?電車でならともかく、タクシー代5000円かけて上野まで出てきた意義はどれほど大きかったのでしょうか?

Kと飲んだら妙なことばっかり起こるなあ・・・・・)

Kのせいではないのですがね。

きっと、夜の大井町のHexeのせいでしょう。ファウストを嗤えない樅の木でした。

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コメント

どうやら樅の木さんにとっては大井町は鬼門のようですね。さしずめ大井町のHexeは酔っ払いをつかまえてお金を稼ぐクソ婆・・というところでしょうか。(あら!上品な私がクソ婆などど・・)でも樅さまの大井町体験話にはいつも笑わせてもらってます(^^)/
ドイツに限らずヨーロッパの魔女たち・・魔女と呼ばれた女たち・・の話はすごいですよね!一方魔女狩りの拷問などは魔女の所業より恐ろしいとも思うのですが・・。
樅様の書いてるように確かに最近のニュースで知る事件では魔女も魔王もいっぱいいそうな悲惨な事件があとをたちませんね。

投稿: ろこちゃん | 2007年4月 7日 (土) 14時16分

ろこちゃんさん♪

上品なのにクソ婆なんて言わせてしまって申し訳ありません(^m^) 
大井町は鬼門ですね、こうしてみると。品川を超えると何かが変わる?

最近の魔女魔王はコワイです。魔女も大井町のクソババぐらいで止めておけば良いものを・・・・・

投稿: 樅の木 | 2007年4月 8日 (日) 00時28分

笑っちゃいました~。Hexeの話がこうなるとは!
日本では、Hexe!って思わず呼びたくなるような人に出くわした事はあまりありません。でも、ドイツに居た時には確かに度々ありました。それは、容姿が童話やおとぎ話に登場するような、イメージする魔女に似ているからかなぁ~って。日本人は似ても似つかない。
やっぱ日本人には、クソ婆あ~!の方がお似合いかと。爆
5000円は大井町脱出心掛けるのにどうしても必要だったんでしょうね。あはは。

投稿: ayaya | 2007年4月 9日 (月) 08時39分

ayaya!さん♪

魔女も悪魔も、われわれ日本人のイメージとしては、しわくちゃの顔に極端なかぎ鼻ってところでしょうか。「馬の脚」までイメージに入っている人は少数派でしょうね。

大井町ってそんなに悪いところとは思わないんですけどね。なんか、妙に運の向かない場所ってありますね。今度、江戸で飲むときは、バーンズバーにでも行こうかな?

投稿: 樅の木 | 2007年4月 9日 (月) 15時08分

★樅さま

思わず、電子辞書でHexeを引いてしまいました(笑)。同じ小学館ですもんね、当然同じ訳語が書いてありました。当たり前田のクラッカー(古っ)

女妖術師という訳語もスゴイですね。女性に限らず男性もですが、若いうちは若さでごまかせても、年を取ると人間性がモロ外見に出ますよね。私もHexe と言われないような年齢の重ね方を目指そうと思います・・・

ところで「カプホ」には笑いました。

投稿: ありちゅん | 2007年4月 9日 (月) 15時10分

ありちゅんさん♪

まだ、第2版ですもんね。第3版は出るのでしょうか?
あたり前田のクラッカー、懐かしいです。みのるくんは今どこで何を?生きているのか?

若くても、中身は顔付きに出ますよねぇ。目つきというのかな?人を外見で判断するなとは、よく言われることですが、反面、中身は外見にあらわれるので、眼力のある人には見抜かれてしまいます。

カプホ・・・言わない?

投稿: 樅の木 | 2007年4月 9日 (月) 20時39分

パソコンのシューティングゲームで、Hexenというのがあったのを思い出しました。魔法世界のゲームでした。
樅兄ぃにも結構、武勇伝あるんですねぇ。笑わせていただきました。感謝。

投稿: なすび | 2007年4月 9日 (月) 21時47分

なすびさん♪

Hexen等というゲームがあるのですか~♪メフィストも出てきますか?

武勇伝、ま、他にもありますけどね・・・ふっふっふ。

投稿: 樅の木 | 2007年4月 9日 (月) 23時34分

大井町でくりかえしこのような目に遭われるなんて、読者からみればおもしろすぎる話です。ドイツのおばあちゃんは、見るからに魔法使いみたいだったり妖しかったりして、ホンモノなのでは?と思ったこともありました。他にも武勇伝が盛りだくさん!?ぜひご披露ください、楽しみ。

投稿: あむひゅん | 2007年4月10日 (火) 13時27分

あむひゅんさん♪

相変わらず、名前のデフォルメ続いていますね。スパイから身を隠す手段ですか?

バイエルンで逢ったおばあちゃんは、道を尋ねたらとても美しい巻き舌で道を教えてくれました。舞台でも聴いているかのようでしたが、あれも魔法だったのかも知れません。

投稿: 樅の木 | 2007年4月10日 (火) 19時32分

大井町、嗚呼大井町。大井町ぶるーすー
おにがでるかじゃがでるか…
私、大井町育ちなんですけど!
(特に意味なし)

投稿: spatz | 2007年4月10日 (火) 21時47分

spatzさん♪

そう仰っていましたっけね♪
このお話しの頃、spatzさんはおそらく20台だったはず。(^^)/

投稿: 樅の木 | 2007年4月10日 (火) 22時38分

ゲーム「Hexen」ですが、ここに紹介されています。

http://www.roy.hi-ho.ne.jp/art2c/game/dos/hexen.shtml

HexenはDOSのゲーム「Heretic」の続編として作られたもののようで、わたしがやったことあるのは、Hereticのほうでした。

http://www.roy.hi-ho.ne.jp/art2c/game/dos/heretic.shtml

投稿: なすび | 2007年4月12日 (木) 18時45分

なすびさん♪

DOS時代のゲーム・・・ピンと来ませんが、Windoesなんかが出てくるもっと前の話?あの頃、わたしはサンヨーのMS-DOSも使えるというワープロを買って喜んでいた記憶があります。今思えばオモチャみたいですが--;

投稿: 樅の木 | 2007年4月13日 (金) 00時21分

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