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2007年4月27日 (金)

【Mitwirkung】

Mitwirkung (ミットヴィルクング) ():共演、協力 ・・・・・ コンサートのチラシなどに、Mitwirkungとして、共演者やその他の協力者の名前が書かれていることがある。「共に機能する」という意味合い。

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さてこの表題のMitwirkungをすることになりました。ソプラノのコンサートで、合唱で賛助出演するものです。合唱が絡むのは8曲で、うち男声が絡むのが7曲。曲目は、イタリア民謡「フニクリフニクラ」、オペレッタ「メリー・ウイドウ」より「ヴィリアの歌」、同じく「女・女・女のマーチ」(レハール)、そしてオペレッタ「観光案内人」より「美しく懐かしきドナウの街」(ツィーラー)など・・・・・今まですでに2回ほど練習をしました。出番はそれほど多くはありませんが、なかなか美味しいところを歌わせてもらえます♪

ツィーラー(Ziehrer, Carl Michael)の「観光案内人」と言うのはまったく知らなかったのですが、歌ってみるとどこかで聞いたようなメロディーでした。で、その観光案内人ですが、ドイツ語原題を「Der Fremdenführer」と言うのです。

「お!Fremdenführerかいな!」

フリーで翻訳業を開業したのは良いけれど、今まで資格なんてあまり気にしていなかったので、履歴書の寂しいこと。そこで、何か能力証明になるものを、と受験したのがこのFremdenführer、すなわち通訳案内業、通称通訳ガイドの国家試験でした。渋谷にある欧日協会と言うところに「通訳ガイドクラス」があるというので、半年(2期)ほど通ってみました。あの時、クラスに来ていた人たちは今ごろどうしているのやら。うち2名はフリーの通訳さんでばりばりやっておられますが、あのころはまだみんな「あすなろ状態」だったのを懐かしく想い出しました。1次試験の後まだ陽も高いうちから居酒屋に行ってしまったり・・・・・お陰で無事に合格し、この6月にはそのFremdenführerと言う題名のオペレッタの曲を歌うのですな・・・・・

ツィーラーはあまり有名ではないらしいのですが、レハールのメリー・ウイドウはなかなか有名です。「女・女・女」という曲は、わたしはまだ歌ったことがなかったのですが、なかなか軽快で楽しい曲です。いかにもウィーンの音楽という感じです。原曲はもちろんドイツ語ですが、シューベルトのドイツリートなどとは、まったく違う世界を形成しています。そう、同じドイツ語圏と言っても、ウィーンとベルリンとでは、大阪と東京ほど違うようですね。いま日本でドイツのイメージとして浸透しているのは、プロイセン的なものではないでしょうか?ウィーンやバイエルンあたりのドイツ語圏は、それとはまた違った雰囲気があると言われています。わたしが知っているのは、どちらかと言うとウィーン寄りのドイツ語圏で、両者を比較することはできないのですが・・・・・

ところで、このコンサートは、すべて日本語で歌われます。親しみやすい、楽しいコンサートと言うことですから、やはり歌詞は日本語がいいですね。実は、今回の演目の訳詩についても、多少mitwirkenしたのですが、音楽の訳詞というのはなかなか大変です。

字数は原則として音符の数以上は許されません。しかし、音符ひとつはドイツ語の1音節ですからして、「ich」とくれば「わたし」「おれ」「われ」など、どれも字余り。おまけに、メリスマ的な部分、すなわち複数の音符に1音節がまたがっている場合は、訳詞も1音が望ましいので、削らざるを得ないわけです。しかも、昔の訳詞は字数を合わせて、あとは文学的に書いたものが多かったようですが、どうも今時のは、原文の意味の近くを漂いながら、メロディーとの抑揚が合うことや、伸ばしている音の音価(母音)が合う、または近いことなどが求められるようです。確かに、言語で歌えば「Aaaaa」と伸ばしているところを、訳詞では「い~~」だと、音楽に貢献しているのかどうか怪しいところです。そんな細かいことええんとちゃう?と思う人の方が多いかも知れませんが、歌う側からするといろいろとウンチクもあるようで。これはこれで難しい作業だなと思う次第です。

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2007年4月18日 (水)

【Duenkelbier】

Dünkelbier (デュンケルビーア) ():自惚れビール ・・・・・ 世界にビールはあまたあれども、これは日本にしか存在しない希少なビールである。見た目、味などは、ドイツのドゥンケルビーア(黒ビール)に酷似しているが、自惚れビールと銘打たれている以上、これは別のものと考えるべきであろう。

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日本も国際化されて来たとは言え、いまだに外国語と言えば英語であり、翻訳業界では、英語と英語以外の諸言語という図式になるのが普通です。昨今では、中国語や韓国語の需要も増えてきているようですが、それでもまだまだ諸言語に括られているように思います。

わがドイツ語などは、昔は結構潰しが効いたらしいですが、それは教養としてのドイツ語で、ヨーロッパにおけるラテン語のような位置づけだったのではないでしょうか?実用する言語としては浸透していなかったのでは?

実用する言語としては圧倒的に英語が優勢です。そこに中国語と韓国語が続いていますか。

でも、だからといって英語読みのようなドイツ語を、あろう事か商品名に使用することはないだろうに、と思います。それがこの「自惚れビール」。昔は市販の商品や、レストランで供されるものに、堂々とカタカナで「デュンケルビール」と表示されていたような記憶があります。

いったいどういういきさつでドイツの黒ビールを模したビールを「自惚れビール」、すなわちデュンケルビールと呼ぶようになったのかは存じませんが、どこかの誰かがテキトーに英語読みをしたのが始まりなのでしょう。まあ、外国語に関する勘違いは星の数ほどありますが、このドゥンケルビールをデュンケルビールと書いてしまう/発音してしまう勘違いは、何とかして欲しいと思います。だって、「これはドイツ語でデュンケルビールっちゅうもんや!」と思いこんだ日本人がドイツ語圏に旅行して「デュンケルビール!」と注文して失笑を買うという国辱的シーンが目に浮かぶではないですか。ドイツ人も、外国人から「自惚れビール頂戴!」と注文されたら、どう取るかはその人次第としても、絶対酒の肴にされますよ。この状況を日本に無理矢理置き換えるなら、外国人が居酒屋に来て「酒!」と言うところを「下げ!」と言ったような感じでしょうか?意地の悪いオヤジなら「何を下げんだい?パンツでも下げようっての?」ぐらい言いそうな感じしませんか?

で、調べてみました。

Googleで「ドゥンケルビール」と「デュンケルビール」を入力してそれぞれ検索してみると、

「ドゥンケル25:デュンケル47」で自惚れビールの勝ち

次にビールの4大メーカーのサイトに行って、そこのサイト内検索で「ドゥンケル」と「デュンケル」でそれぞれ検索してみましたところ:

キリンビールでは、「ドゥンケル3:デュンケル6」で自惚れビールの勝ち。ただし、キリンの場合「キリンヨーロッパ」と銘打った商品名に「ドゥンケル」というのがあるので、企業として「ドゥンケル」というスタンスを取っていることがわかります。が、キリングループ内では、デュンケルとHPに表示している組織がまだあるのですね。

アサヒビールでは、「ドゥンケル0:デュンケル1」で自惚れビールの勝ち。デュンケルの1件は、ビールの歴史について書かれた記事に見られました。堂々と自惚れていますね。

サントリービールの場合も、「ドゥンケル0:デュンケル1」で自惚れビールの勝ち。ここは、お酒・飲料の大辞典とするページに堂々と「自惚れ表示」されていました。用語集にですよ。やんぬるかな。

サッポロビールの場合、どちらも0で引き分けでした。わたしは個人的にサッポロビールシンパですので、この結果にホッとしています。でも、引き分けというのが・・・・・・・・・・・あ、怪しい _||

どうも、日本社会には「ドイツの黒ビールはデュンケルビールって言うんだよ~」というのが定着しつつあるように思えます。アサヒとサントリーが自社HPで「自惚れ」てるぐらいですからねえ。こんなもの定着させないで欲しい。キリンビール、ちょっと見直した。サッポロビール、真相はどっちだ?ゲーテインスティテュートやドイツ大使館も、黙っていないで訂正を求めて欲しいなあ。日本の諸機関は外圧に弱いから。あるいはNHKのドイツ語講座で、「絶対にしてはいけない間違い特集」とか企画して、そこで紹介して欲しいですね。

小さなことではあるのですが、これがこんなに気になるというのは、やっぱりわたしはビール好きなんだなあと再確認した次第です。小さなことですが、これはやっぱり恥ずかしいですよ。このブログをもしビール関係者の方がお読みになったら、是非是非「自惚れビール撲滅」に動いて頂きたいものです。

くたばれ自惚れビールっ!!!

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2007年4月 6日 (金)

【Hexe】

Hexe (ヘクセ) ():魔女、鬼ばばあ、クソ婆 ・・・・・ 発音と意味を知って「ぶっ!」と吹き出した言葉のひとつ。ドイツでは、ぎっくり腰も魔女の仕業らしい(?)。

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魔女にもいろいろあります。サマンサやジニーみたいなのだったら良いんですが、うん、タバサでも良いですが、すべてがそうとは限らないのが世の常というものです。ファウストでも、ワルプルギスの乱痴気騒ぎの場面がありますが、そこでファウストが綺麗な魔女と楽しくやっていたら、「口からネズミが飛び出してきた」とげんなりしている場面があります。魔女だったらそれぐらい不思議ではないというものです。ファウストの覚悟が足りなかったと言うべきでしょうか。

とうとう電子辞書版も出たと言う、○学館の独和大辞典では、「魔女」のほか、「鬼ばばあ」とか、「妖婦」などという訳語もあります。まあ、「とんでもない女」というほどの意味にもなってしまうかも知れません。現に、この単語はドイツ製の夫婦喧嘩や痴話喧嘩では頻出単語のひとつです。

さて、Hexeと呼びたくなるような女、巷にはさぞかしいっぱいいることでしょう。ニュースなどを聞くと、もうそこら中にいるのではないかと思うのですが、つくづく思い返してみると、わたしの目の前にHexeが現れたのは、ずいぶん昔のような気がします。ここ数年、平和な気持ちで暮らしているせいかもしれません。気持ちが荒んでいるときは、荒んでいる人が寄ってくるものです。男が、「この女はHexeだ!」と思うとき、きっと彼はTeufelなのです。

さて、前置きが長くなりましたが、わたしが逢ったHexeというかクソババのお話。それは大井町の夜に出没したのです。いえ、正確に言うならば、出没したのはわたしの方だったのですがね。

以前の日記に、自由が丘→鷺沼→大井町深夜の彷徨事件について書いたことがありました。その時、わたしは「この次にKと飲むときは、大井町で飲もう」と心に誓ったのでした。そして、誓いの通りわたしは大井町でKと飲みました。以外と意志強固なわたしなのです。そして、飲み終えて後はホテルに帰るだけと思ったその時、思い出したのです。ホテルを予約していなかったことを。 _||

例によって約束ギリギリで大井町にやって来たわたしは、居酒屋からホテルに電話するしかないと思っていたのでした。部屋数は多いので、何とかなるはずだと思っていたのですが、飲み始めたらそんな考えはすっ飛んでいたのです。

駅前で友人Kを見送った後、ホテルに電話を入れてみたら、案の定満室でした。こうなったらカプホにでも泊まるしかないかな?と思いました。そして、翌日の行動を考えるのなら上野にでも行った方が良いのかも知れない。どうしようかな?と考えながら、酩酊状態の一歩手前で夜の大井町をぶらぶら流しておりました。こういうときって、結構気分の良いものなのです。すると、わたしの腕をつかむものが・・・・・

「あらぁ。いい男~♪ちょっとあたしのお店で飲んでいかない?」

これが黒木瞳のような美女だったら、わたしはその場で気絶していたかも知れませんが、そうではありませんでした。もう還暦近いのではないか?と思われるような「年齢をお重ねになった女性」でした。

この年齢で夜中に客引きとは天晴れ。

酒に酔っていて、しかも、当時わたしは訳あって結構「ヤケのヤンパチ」状態だったこともあって、年増相手に場末の酒場でぐでんぐでんになるまで飲み明かすと言う、阿呆な時間の過ごし方にも興味を覚えました。もしその状態で詩でも書いたら、きっと中原中也の上を行くダダな作品が書けたかも知れません。(愚痴でも言ってやろうかな?)などと思ったりもして、誘われるままにその「年齢をお重ねになった女性」についていったのでした。店はすぐ近くでした。5坪もあるだろうか?と言う小さな店でしたが、店内には人がすでに3名いました。ただし、全員カウンターの中に。

敬老会か?とでも言うような顔ぶれでした。いちばん若いのでも50才は超えていると見ましたね。いや、別に誰かを取って喰おうとか、取って喰われようとかいう話でもないので、年齢はどうでも良かったのですが、おばはん4名というのはキビシイものがありました。まず、ヤカマシイ。「ひ~と~り、酒場でぇ~、飲~むぅさ~~~~けはぁ~~♪」なんて境地とはほど遠く・・・・・来てしまったので仕方なく、水割りを1杯所望すると、「じゃあ、わたしも頂くわ~」と4名がそれぞれ1杯ずつ召し上がったので、5杯飲んだことになるのだというのに気付くのに315秒ぐらいはかかったでしょうか。連中も考えています。よく見ると、4名いる中の「いちばん綺麗な子」が客引きに出てきていたのでした _||

お代わりをする前に脳の一部が正気に戻ったわたしは、すぐに店を出ました。11000x55000円が、ダダな時間への幻想の代償。中也を超える詩は生まれず、終電も行ってしまった大井町で、わたしは翌日の行動を考えて、タクシーを拾って上野のカプセルホテルに駆け込みました。タクシー代金、およそ5000円かかったでしょうか?

翌朝目覚めて、カプホ近くの喫茶店でモーニングサービス(懐)を食べているとき、ふと思ったのですが、何故、昨晩あのまま大井町か大森あたりののカプホに泊まらなかったのでしょうか?電車でならともかく、タクシー代5000円かけて上野まで出てきた意義はどれほど大きかったのでしょうか?

Kと飲んだら妙なことばっかり起こるなあ・・・・・)

Kのせいではないのですがね。

きっと、夜の大井町のHexeのせいでしょう。ファウストを嗤えない樅の木でした。

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