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2007年12月17日 (月)

【Nichtraucher】 ノースモーカー

Nichtraucher (ニヒトラオハー)(男):ノースモーカー ・・・・・ 人類にはスモーカーとノースモーカーのどちらかしか居ない。これは純然たる事実であるが、実はノースモーカーにはいくつかの種類があるのを意識している人は少ない。産まれてから一度も煙草を吸っていない人、少し吸ってみたけどまずいから吸わなくなった人、好んで喫煙していたが、健康上の理由で喫煙を止めた人、好んで喫煙していたが、経済的理由で喫煙を中止している人、健康上の理由で力ずくで禁煙させられている人、喫煙者だったのが喫煙するのを忘れてしまった人、死ぬくらいなら禁煙でもするかと思っている人、等々…… これらをすべてNichtraucher(ニヒトラオハー = ノースモーカー)という言葉でひとくくりにするのは、間違っては居ないが正しいとも言えない。Garnichtraucher(ガルニヒトラオハー = ちっとも吸っていない人)とか、Nichtmehrraucher(ニヒトメーアラオハー = 金輪際吸わない人)とか、Nochnichtraucher(ノホニヒトラオハー = まだ吸っていない人)とかMomentannichtraucher(モメンターンニヒトラオハー = 今は吸っていない人)とか、Versuchnichtraucher(フェアズーフニヒトラオハー = 禁煙挑戦中の人)とか言う具合に分類してより正確に表現してみてはどうだろうか?

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 10月の初頭から煙草を吸っていない。

 これで2ヶ月半の禁煙歴となった。最近では食後の一服の衝動も殆どない。この2ヶ月半の間、わたしの仕事部屋には19本入りのマイルドセブン・スーパーライトがずっと置いてあって、吸いたければいつでも吸える状態であったのであるから、よくぞ乗り越えたと言うしかない。まるで歌舞伎町をまっすぐ横切って「何もしないで」新宿駅に到達したような気分である。あるいは真夜中の大井町で客引きのクソババに蹴りでも入れてやったような気分であるとも言える。とにかく、11箱弱の消費であったのだから、まあ1ヶ月に7000円前後のお金を燃やしていたことになるが、それが無くなったというのは経済的にも極めて喜ばしい。

 その反面、煙草を吸うという行為が生活の中から消えたことで、どこか寂しさを感じることもある。別に吸いたいと思うのではないが、あのモラトリアムのひととき、『取りあえず煙草吸い終わるまではタイムね、タイム!』というような、まるで戦時下のクリスマス休暇のようなあのモラトリアムのひとときがなくなったのは、ちょいと寂しいような気がする。

 禁煙歴がまだ1ヶ月にも達していなかった頃は、煙へと駆り立てる衝動を抑えるのがなかなかの行であった。わたしはこう言うときは、太めのボールペンを口にくわえて、それをダミーのシガレット、またはシガーと見なして、いかにも煙を吸っているような動作で深呼吸をしていた。煙がないことと、手に持っているのが煙草ではない何か別の細長いものであるという点以外は、完全に喫煙と同じことをするのである。これは、言ってみれば、ご飯に醤油をかけて食べて、『卵かけご飯の卵抜き』と言うのと本質的に同じ行為である。そして、この子供だましのような手口で、結構煙への誘惑を断ち切ることができたのである。喫煙とは、一種の「深呼吸の快感」なのかも知れない。

 煙草を吸わなくなってから、呼吸が深くなった。今まで届かなかった肺の深部にある肺胞にまで吸気が行き渡っているような感じがする。まるでフルスロットル時のインテーク・マニホールドのようだ。すると、深呼吸が実に気持ちよいのである。もうしばらくすれば、確実に1小節ぐらいは息が長く続くと思う。煙草を吸うと、この深呼吸の感覚が煙の刺激によって強調される。レントゲン撮影の前に造影剤を飲むようなものだろうか。これはこれで、気持ちの良いものではある。わたしは、このまま首尾良くNichtmehrraucher(ニヒトメーアラオハー)になれたとしても喫煙者に優しい禁煙者になると思う。Raucherfreundlicher Nichtmehrraucher(ラオハーフロイントリッヒャー・ニヒトメーアラオハー)とでも言おうか。

 かくしてわたしも、レストランなどに行った際は禁煙席に座ることができるようになった。もう食後の一服をしなくても平気だ。レストランや新幹線などで、座る席を限定されないで済むというのはなかなか快適である。先日、家の近所にあるファミレスで食事をした。当然、禁煙席に座った。しかし、何処かから副流煙が漂ってきた。 

…… うまかった …… orz

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コメント

樅さま

ここ2,3日バタバタしていて、気になりながらもコメントできずにおりました~。今でこそ日本も禁煙席・喫煙席が区別されるようになりましたが、ドイツは早かったですよね。20年以上前、初めてドイツに行った際、その徹底ぶりに驚いた記憶があります。知り合いのドイツ人は葉巻愛好者で、家中クサイ・・・。そのおじさんがくれる手紙は、封を開ける前から葉巻の臭いでクサイ・・・。そこでご馳走になると、すべて燻製の味がする・・・。家中煙だらけのRauchermännchen でした。

投稿: ありちゅん | 2007年12月21日 (金) 07時15分

Räuchermännchen でしたね。Umlaut入れるの忘れてました。あ、でもRauchermännchen と書いたほうが、日記のテーマには合いますな。

投稿: ありちゅん@あ、間違えた・・・ | 2007年12月21日 (金) 07時17分

え~、ボールペンで克服ですか~!! は~

禁煙者の分類、なるほどですな~ 樅の木さんの煙草&喫煙者への愛情を感じます。タバコタイムって、モラトリアムタイムだったんだ~!考えつきませんでした。きっと喫煙でなくてもそれにあたるものって他にもあるんでしょうね、フムフム。

投稿: あむ | 2007年12月21日 (金) 15時45分

ありちゅんさん♪

葉巻の匂いは強烈ですね。でも、紙巻きではないので、あの紙の焦げる匂いがしないので、まだ良い香りだと思います。可成り年上の知人(ドイツ人)にパイプ愛好者が居ましたが、パイプ煙草の上等なものはとても良い香りです。そして、匂いの抜けるのも早いと言っていました。正確に言うと、紙巻きの臭いは抜けないが、パイプ煙草の匂いはすぐに消えるって。まあ、消える前に次のに点火したらアウトですけどね……

投稿: 樅の木 | 2007年12月21日 (金) 23時22分

あむさん♪

その人なりのモラトリアムがあるんでしょうね。これは絶対必要でこれが終わらないと何も始まりません、と言うようなもの。女性なら、鏡を見ている間とか衣装を選んでいる間とか。皿を割っている間とか??? でも、義務から取りあえず解放されるって意味合いで言うならば、煙草以上のものはないかも知れません。
不意に、エイトマンなんて想い出したりします。

投稿: 樅の木 | 2007年12月21日 (金) 23時26分

更新された直後に読ませていただいていたのですが…なぜか全然違うところにコメントしてしまったりしてこちらへのご挨拶が遅れました。
いや、実に、見事な表現力(別によいしょする義理はないので本心ですわー)
Seitderschwangerschaftnichtmehrraucherin
の私にしては、モラトリアム、ってその感覚、わかるっ!もう説明できないけど、あるんですよね、それ。わかります。言いえて妙。

ただ、別の面からいうと、机でぼーっとして仕事をさぼっているのをこうるさい上司に見咎められ、あやつは…と責めるようなまなざしが気になるのに、煙草をすう人々が喫煙所でわきあいあいと喫煙タイムをしているのは、なんとなく「煙草中」で許されている雰囲気になるのは、全く持って解せない!と怒っていたNichtraucherの話もまた、ある意味とてもうなづけてしまうものがあります。

どんどん喫煙ゾーンは減ってきますね。
ヨーロッパではもうかなり駄目なんでしょう?ドイツでも、Kneipe禁煙のところが多いとか?最近全然いってないので現状はよくわかりませんが。

乱文失礼。
Frohe Weihnachten!!!


投稿: spatz | 2007年12月25日 (火) 15時10分

spatzさん♪

クリスマスが終わって、5日間ほど「あっ」と言い続けていると、あっという間に大晦日になります。いや~、今年も終わりですねえ。

Kneipeで禁煙だったら、お客さんも減るんじゃないでしょうか? でも、そんな話は聞いたことがあります。今では可成り徹底されているんでしょうね。

わたしの印象では、ドイツには結構スモーカーがいましたよ。でも、煙草1箱5マルク(当時)は高かった(英国はもっと高かった)…… orz

投稿: 樅の木 | 2007年12月26日 (水) 10時37分

さっきヤフーのニュースで、ドイツでビールの消費量が減っているとかなんだかって記事を目にしました! その分、ノンアルコールが増えているとか。クナイペ、つぶれるところも出てきたりして・・・

投稿: あむ | 2007年12月26日 (水) 15時22分

あむさん♪

ドイツのビール消費量が減っているのですか!? まあ、行くところまで行けば折り返し点だと言うところでしょうか。なんか、寂しい気もしますね。健康のために禁酒したり、禁煙したり、菜食したりするドイツ人って…… 何かが違う、かも?

投稿: 樅の木 | 2007年12月26日 (水) 22時04分

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