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2008年3月18日 (火)

【Scharfes Essen】 辛い食べ物

Scharfes Essen(シャルフェス・エッセン)(中):辛い食べ物 …… 子供の頃、辛いと言ったら「塩辛い」ことだけだと思っていた。香辛料による辛さと言うものとはほぼ無縁の子供時代だった。同じく納豆とも無塩、じゃなくて無縁であった。ドイツ語では辛いことをscharf=鋭い)と言い、英語ではhot=暑い)ともsharp=鋭い)とも言うようだ。同じ系統の言語だけれど、ドイツ語ではheissを「辛い」の意味には使わない。方言や若者言葉ではどうだろうか?

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 妻が知人宅を訪問した際に、『うちの義理の弟が韓国籍の人で、美味しいキムチ作ってるのよ』と言われ、勧められるままにその店頭でキムチをひと袋買ってきた。わたしもキムチは嫌いではない、辛い食べ物も嫌いではないが、ものすごい量の発汗を伴うので、辛いものを食べるとわかっているときはタオルを用意するのが常である。しかし、この韓国人が作ったというキムチは、まさに『わたくし、キムチでございますが何か?』とでも言っているようなキムチであった。

 白菜キムチである。それをひとくち食べるだけで汗が出てきた。妻は平気な顔をして喰っている。われわれは、酒の場合はわたしが平然としていて、妻はすぐに真っ赤になるのだが、辛いものになると逆で、妻は平然としていて、わたしは汗の中を泳ぎながら食べる。本場の味というのだろうか、韓国籍のどなたかが作っているキムチは、すさまじいキムチであった。美味い、美味かった、美味しかった、そして辛くて、んで臭かった(爆)。

 子供の頃は、辛いものをほとんど食べなかったような気がする。だから、「辛い」という言葉はそのまま「塩」と結びついていた。母が注意して、子供に辛いものを食べさせなかったのかも知れないが、そもそも我が家には胡椒の卓上ビンなどなかったような気がするし、うなぎを食べるときだって山椒をかけるところを見たことがなかった。見なかっただけかも知れない。今となっては良くわからないが、小池さん(@おそ松君)がラーメンに胡椒をかけるのを見て、『ああ、ラーメンには胡椒かけるんか…… 知らなんだ。うちに胡椒あったかなあ?』とか思っていたのであった。

 子供の頃食べていた唯一の「辛いもの」はカレーだった。子供のわたしには素敵に辛かったが、きっとアレはハウスのバーモントカレーでリンゴとか蜂蜜が入っていたはずだ。辛いわけがないのだ、今となっては。しかし、子供のわたしには素敵に辛かった。『水がむっちゃ美味いからカレー好きやねん』と、何度もわめいていた記憶がある。あの頃は、カレーを完食した後に飲むコップ1杯の水道の水がとても美味しかった。カレーの後には、水道の水でなければならなかった。味がついとったらあかんねん。

 カレーを食べていない場合は、何と言っても麦茶だった。冬はともかく、夏、大汗かいて帰ってきて、ひと息で飲み干す麦茶の美味しかったこと。つくづく思うが、金のかからない子供だった。しかし、カレーの後の水道の水、真夏の麦茶、これらを「ひと息で飲み干した」あの感覚が、大人になってから人をビールに走らせるのではないだろうか? そう言えば、子供の頃、水道の水のことを大人が「テッカンビール」と呼んでいたのを想い出す。あれは「鉄管ビール」だったのだろうか?

 こうして思い起こしてみると、子供の頃は五感が鋭かったのだ。老いてくると(?)やはり五感は鈍くなるらしい。水を一杯飲んだだけで、子供の頃のようにあれほど心が、身体が悦ぶことが少なくなったのは、水が不味くなったからだけではあるまい。

 わたしの車のドア・ポケットに「翳りゆく時間」(新潮文庫)という文庫本が入っている(車内常備文庫)。浅田次郎氏が編んだ短編のアンソロジーである。このアンソロジーの解説で、浅田次郎氏はやはり加齢による五感の衰えについて語っておられた。この短編アンソロジーには、小説ならではの五感を使って感じる作品を集めたと言うことだ。

 感覚というものはいつも使っていれば衰えることも少ないのではないかと思う。それでも、耳が遠くなったり、ものが見えにくくなったりと言うことはあり得るが、身の回りのことにいつも(五感を使って)驚いていられるようにできたら、楽しいだろうなと思う。


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コメント

楽しく読ませてもらいました。
樅の木さんの文章は引き込まれますね。

夏の麦茶美味かたですね!
現在も真夏にサッカーやった後はウーロン茶ガブガブ飲みますね。
そして夕方は皆でビールですしね。

自分は韓国のトウモロコシのお茶とかも冷やして夏にはガブガブ飲んでました。

爺ちゃんの系統に韓国の血が入ってまして、しかも地元にはコリアタウンがあるせいか、韓国料理は和食よか身近な存在でした。
辛さの感覚が完璧に麻痺してるって言うか、韓国料理の辛さには甘さが混じってて、最高っすよ。

カレーは昔嫌いだったんですが、最近本物の印度人のカレー屋行ってから印度料理にもハマってしまいますた。
アジアの料理は何処の国のも魅力ありますね。

感覚というものは本当いつも使っていれば衰えることも少ないもんなんでしょうね!
美味いもん食べたり、何かに感動したり、なるほどなと思いながら読みました。

投稿: 李コムタン飛魚 | 2008年3月19日 (水) 21時54分

李コムタン飛魚さん♪

ああ、韓国にはトウモロコシのお茶もあるんですか。つくばあたりで手にはいるかも?

子供頃食べたり飲んだりしていたものはどれも美味しかったのです。トマトなんか、あれを真上からがぶりとやって、それから各チャンバにあるぬるぬるをじゅるっとインテークするのが大好きでした。
今のトマトがそれほど美味しく感じられないのも、五感の衰え? と思う反面、やっぱり食べ物自体が悪くなっているのかな? と言う気もしますねえ……

投稿: 樅の木 | 2008年3月19日 (水) 22時24分

ハイっ! いまだにハウスバーモントカレーの甘口派です! 中辛は汗出ます。うちもこども時代に辛いものを食べさせられなかったせいか、カレー以外の辛いものはいまだに×ですー。わさびやネギ、みょうがなどはOKなのですが(あれは辛いとは違いますが・・・)、基本的にお子さま味覚のままであります。
そういえば冗談きついようなときも「しゃーふ!」とか言いませんでしたっけ?

投稿: あむ | 2008年3月22日 (土) 20時13分

あむさん♪

わたしは、辛いもの食べるのは一応好きなんですけど、汗をかかずに食べることができません。そう言えば、シンガポールで食べたチキンライス♪ アレは特別辛いってわけではなかったのですが、チリソースをふんだんにかけて食べて、大汗かいて体温下げるんだそうな。あのチキンライスは、チリ抜きで食べたら可成り美味いです。鶏ガラスープで飯炊いてるんですから……
わたしのドイツ人の知人(ボンビー)は、何かというと「ザフティヒ」とか言うてました。どういうニュアンスなのか良くわからないままで終わりました。

投稿: 樅の木 | 2008年3月23日 (日) 01時11分

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