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2008年6月10日 (火)

【St. Etienne】 サン・エティエンヌ

St. Etienne (サン・エティエンヌ)(地名):サン・エティエンヌ …… フランスの地名。最近では、サン・エティエンヌと言えばサッカーの松井大輔くんを連想する人が多いようだが、わたしや、もう少し上の世代だと別のことを思い出す。これは、札幌という地名を聞いて、雪祭りやビールを思い出すのと、オリンピックを思い出すのとの違いとほぼ同じである。

**********

ドイツに住んでいた頃、1230日というとんでもない日から、友人と合計四人で南フランスに旅したことがあった。車で行った。わたしはフランス語と言ったらボンジュールとジュテームしか知らない(それだけ知っていたら向こうでは生きていけるぞと言われた)。そこで、わたしはバーゼルまでステアリング・ホイールというかハンドルを握り、以降はフランス語のできる友人にハンドルを譲った。彼は、ボンジュール、ジュテームの他にボンナペティトとかシルブプレとかコマンタレブとかも知っていたので、大船に乗った気持ちで、わたしは助手席に座っていた。

わたし達の旅は南フランスの小さな村に住んでいる共通の友人を訪れる旅だった。車はスイスからじきにフランス国内に入り、グルノーブルとリヨンの間あたりをぶっ飛ばしていた。

「サン・エティエンヌってこの辺だったっけ?」

旅の道連れのひとりの声がリヤシートから聞こえてきた。

「リヨンのもそっと向こう」

と、フランス語に堪能な運転手が、サン・エティエンヌの方角(多分)を指さしてドイツ語で言った。

「サン・エティエンヌに何か?」

もうひとりの道連れが言った。

「行ったことがあるから」

と、もっともな答えが聞こえてきた。


わたしは古い歌を思い出していた。メリー・ホプキンの歌っていた歌だ。サン・エティエンヌの草原という邦題で、たしか日本語の歌詞のものもあったはずだと思う…… 子供の頃、どこかでレコードがかかっているのを聞いて、良い歌だなあと思っていた。近くにいた大人に聞くと題名と歌手の名前を教えてくれたが、題名の方はじきに忘れてしまい、メリー・ホプキンという名前だけが記憶の隅っこに残っていた。

この歌を再び耳にしたのは、生まれてから四半世紀以上経ってからだった。知人のひとりに、わたしと同じく「トワ・エ・モワ」が好きだという女性がいて、彼女とカセットテープ(CDなどはなかった時代である)を貸し借りしたり、アンソロジーを編集したりしていたのを思い出す。そんな時に行き来していた曲の中に、デュオではなくソロになってからの白鳥英美子が歌っていた「Fields of St. Etienne」が入っていたのだった。永年会っていなかった人とばったり会ったような気がした。

これは子供の頃にいちど聴き惚れて、でも名前忘れたし、他の曲に浮気もしたので別れて何年にもなる、とか言うわたしのウンチクを彼女はげらげら笑いながら聞いてくれた。げらげら笑うような話ではないのだが、多分わたしがげらげら笑われるような話し方をしたのだろうと思う。悪いのはわたしだ。冗談ひとつ言えない堅物のわたしも、久しぶりの古い歌との邂逅にテンションが上がっていたらしかった。彼女に、げらげら笑って楽しかったらしいひとときの見返りに歌詞カードをコピーさせた。それで、これがどんな歌なのかも知った。


南フランスへ向かう車中で、この歌のことを久しぶりに思い出した。

「メリー・ポピンズの歌があったよねえ……」

わたしは、愁いを含んだ渋い低音のドイツ語で語った。

「メリー・ポピンズ?」

「……?」

「……?」

「それは、ホプキンの間違いでしょ! きゃーはっはっはっはあ!」

車内は愁いではなく笑いに満ちた。窓の左側には、白凱々のアルプスの美しい山並みが、冬の冴えた日差しを受けて、青空に映えながら笑っていた。「アホかお前~♪」


今日、YouTubeでメリーさんが歌うこの曲のビデオを1本だけ見つけた。

Fiels of St.Etienne

懐かしかった。歌詞を以下に示す。覚えていらっしゃる人も多いだろう。

そう言えば、別の知人がフランスの歌手フランソワーズ・アルディのファンで、わたしも彼の所蔵のレコードを聴かせてもらったことがある。その中にあった「Let my Name Be Sorrow(わたしを哀しみと呼んで)」というこれまた哀愁のある歌があったのだが、それもポピぴょんの歌だったと言うことも後になって知った。レコードのジャケットなどを見ると、時代を感じる。しかし、歌や詩の内容は現代にも十分響くものがある。大ヒットした悲しき天使は確か Those were the Days だったかな?

Fields of St. Etienne

Through the fields of St Etienne

Amidst the corn I wonder

In my hand an ear of corn

The morning dew has kissed

Here beneath the skies

I lay with my lover

While the summer winds gave it clouds of war

Au revoir my love

Though the reasons pass me

Why we can't remain in the fields of St. Etienne

Weaving proudly, singing loudly

Being young and foolish

He was going never knowing

He would not return

Singing songs of war

Filled with God and country

Marching down the road with the boys that day

Au revoir my love*

Though the reasons pass me

Why we can't remain in the fields of St. Etienne

(Repeat *)

La La La La ............

(Au revoir 「オ・ルボワ」 はドイツ語の Auf Wiedersehen 「さようなら、またね」 にあたる。「アデュー」でなくて「オ・ルボワ」なのがいい)

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コメント

樅さま こまんたれブ~

> 冗談ひとつ言えない堅物のわたしも

ぷぷっ

> 愁いを含んだ渋い低音のドイツ語で語った

渋い低音…いいですねぇ~♪ そのあと、車内が憂いではなく爆笑の渦になったのがまた良いですな。

投稿: アリエンヌ | 2008年6月11日 (水) 07時31分

アリエンヌさま♪ (あり得んHN)

ボンジュール、ジュ……

>ぷぷっ

何故笑うっ!(爆)
その通りやんか……

投稿: 樅の木 | 2008年6月11日 (水) 13時43分

sapin サマ (← ネットのDeutsch-Französisch Wörterbuchを引いてしまった~)

> ボンジュール、ジュ…

…の後が知りたいのです。

1)テーム
2)っぺんしゃいっく
3)うどういっちょくせん

…どれでっしゃろ?

投稿: いや、あり得~る | 2008年6月11日 (水) 22時15分

いや、あり得~る さま♪

確かこんな名前のティッシュペーパーがあったような……?

ジュ…… のうしろは
4)マンジ

知ってますかな、この映画(笑)?

投稿: 樅の木 | 2008年6月11日 (水) 22時41分

わぁ楽しそう、お久しぶり~
江戸の職場に復帰してからめちゃくちゃなあわただしくこれも携帯から。はやくパソコンでYouTubeをクリックしたいっ。

じゅ…については日本人のこころ、の観点から
…げむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょの…

以下略

投稿: spatz | 2008年6月11日 (水) 23時53分

☆しゅぱぽん

> …げむじゅげむごこうのすりきれ…

冴えてるっ

☆樅さま

ワタシはてっきり、愛の告白をしていただいたかと思って一人で赤面していたんですが…まさか「じゅげむ」だったとはっっ あぁ勘違い~


投稿: やっぱり、あり得んかった | 2008年6月12日 (木) 07時37分

わー、おくれました、こまんたれぶ
うん、やはり
> …げむじゅげむごこうのすりきれ…
ですな。
トワエモワなつかしー、この歌もなつかしー、いえ、前世で・・・
バーゼル、近くに住んでたことあります。こないだも一日寄ってきました。あのへん、郊外の森を散歩してるといつのまにかフランスに入っちゃうんですよね。

おるぼわ

投稿: あむ | 2008年6月12日 (木) 10時37分

spatzさん♪

お久しぶりです。
いや~、じゅげむが思い浮かばなかったのは一生の不覚でした。やっぱり、堅物だからウィットに欠けるのですな、わたくしは。
いま、わたしのPCのディスプレイ上にはじゅげむ以上の存在がぶいぶい言わしています:2-エチルヘキサノール…2,6-ジメチルフェノール…ジ-(2-エチルヘキシル)-アジペート usw...
orz
てゆーか、こんな時間にまだ携帯で?


やっぱり、あり得んかった(@ありちゅん)さん♪

ボンジュール、ジュゲ~ム
嗚呼、せ、切ない……(爆)

あむさん♪

前世でお聴きになっておられましたですか!
息の長いヒットソングじゃ。

バーゼルにお住まいでしたか。わたしはカールスルーエとかハイデルベルク近くがシマでした。人のお見舞いにフライブルクまで行ったことはあります。フライブルクからバーゼルまでが結構遠いんですよね (^^)

投稿: 樅の木 | 2008年6月12日 (木) 11時24分

このやりとり、2年前の「熱い夏」を思い出しますな、シュパぽん。とゆーわけで、久々に「モミ画像」を見させていただきました、プロフィール欄で。こうしてネット上で皆様に2年以上もお付き合いいただき、ありがたやありがたや…

投稿: それでもあり得るカモ… | 2008年6月12日 (木) 16時16分

たびたび乱入してずびばぜん。あむぽんはご存じですよね、2年前の「熱い夏」。確か以前、お教えしたような…。もしまだでしたら、シュパ宅に乱入してやってくださいまし。

投稿: 何度も失礼します | 2008年6月12日 (木) 16時19分

もちろん、以前全文読破いたしました。あれは永久保存していただきたいです♪

ハイデルベルクが庭!いいな~。私はかれこれ3度行きました。そういわれてみればフライブルクとバーゼルはわりと離れてますね。カールスルーヘは降りたことありません。温泉街なんでしょう?
ところでわたしは先日まで3-ヒドロキシプロピルとか酵素でございましたわ。文系出身だから想像つかず単語だけ追う状態なのでイライラしました

投稿: あむ | 2008年6月12日 (木) 20時56分

ジュ
6)ンク堂
7)わいよくちゅーるマキ
8)ン・サンダース

ああっ、流れを壊してます?

知っている仏語:ぼなぺち

投稿: あむ | 2008年6月12日 (木) 21時05分

家主さまをムシして書き込み続けちゃいます~。

ジュ

9)リアナ東京(古っ あ、それでもまだ新しいほうですな)

10)っぱひとからげ

11)ンとネネ(嗚呼~やっぱり古っ)

知っている仏語:あらんどろん

投稿: あり@がはは~ | 2008年6月12日 (木) 23時28分

みなさま♪

ジュゲ~ム!

ネット内某所でなにかありましたね。あれはもう、2年前ですか? なんと! 年取るなあ。

前世の記憶、蘇ってますねえ。X攻撃とか、稲妻落としとか、頬に小さな泣きぼくろとか……

12)~うそ~~うの~ねえちゃん~♪(von藤田まこと)
13)くねんりこん(怖っ!)
14)でぃ・おんぐ(懐!)

投稿: 樅の木@化学は弱い | 2008年6月13日 (金) 09時15分

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