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2008年7月 7日 (月)

【Gabel und Messer】 ナイフとフォーク

Gabel und Messer (ガーベル・ウント・メッサー)():ナイフとフォーク …… 順番的にはフォークとナイフと訳さなければならないところだが、通りの良いのはこっちだろう。ドイツでドイツ人が「Messer und Gabel」と言うのは聞いたことがなかったし、日本でも「フォークとナイフ」という言い方をされているのを現行犯で逮捕した記憶がない。昔、日本人が海外に出て行き始めた頃は、「ナイフとフォークで食べることができるか?」と聞かれることが頻繁にあったらしいが、最近ではお箸を使うことのできる欧米人も増えてきており今後の成り行きが注目される。

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ナイフとフォーク、すなわち洋式の食事ということになるとあちこちで話題になることのひとつに、フォークの背中にライスを乗せると言うものがある。初めて聞いたときはわが耳を疑ったが、まだ耳が遠くなるような年齢には達していなかったので、聞き違いではなかったのだ。

まだ、パスポートすら手にしたことの無かった頃、試してみた。その食べ方を。何度かやっていると出来るようになった。日本の米だったから出来たことなのだろう。タイ米だったらそうは行かなかったはずだ。自分としては、この『マナーに叶った食べ方』をマスターしたと言うことで、外で食事をするときにもしばしば披露した。すると、上には上がいるもので、わたしの倍くらいのスピードで食べる御仁もいた。

実際にドイツで暮らした10年以上の間、ライスをそのようにして食べる光景にはお目にかからなかった。「日本ではこんなことを言われてたんだけど……」と言うと、「多分イギリス式じゃないか? あいつら、ろくなもの食ってないからそんな変なこと考えつくんだ」と言う意見があった。後日調べてみると、どうもやっぱりそうらしい(日本人の創作という俗説もあるが、どうもイギリス式というのが本当っぽい)。

しかし、そもそもヨーロッパでは日本のように米を主食として食べることは伝統的に無かったのであるから、ライスの食べ方など決まっているはずがないのだ。日本人の創作というのもこの辺が論拠なのかも知れないが、わたしは、英国式のマナーの目指すところを理解した誰かが、それを日本の食卓にも応用したのだろうと思う。英国人の誰かに「あなたならナイフとフォークを使って、どのようにライスを食べるか?」と聞いたかだろう。

日本で言われているマナーには、例えばスープを飲むときは、スープ皿の手前を持ち上げて、向こう側にたまったスープをすくって飲む、と言うのがあったりする。いくつかのそんなものを知って考えるに、無駄な動きを禁じているのではないかと思った。左手の中で、フォークを表にしたり裏にしたりすることとか、果てはフォークを右手に持ち替えるとか、あるいはスープ皿の向こうからスプーンを回してきてスープをすくうとか言うのが、無駄な動き、美しくない動きと誰かが決めたのであろう。姿勢を変えずに、静かに座したまま、最小限の動きですべてを美しく完食することに価値を見いだしていたのだろう。まあ、ただ持ち替えるが面倒だったという考え方もあるが…… 

また、話の出典を皆目思い出せないのだが、騎士団などの特殊な閉鎖的な集団、仲間意識(=排他意識)の強い集団で、仲間のしるしに特殊なマナーを考案して、それをするかしないかで仲間だの敵だのとやっていたのだ、それがそもそもの始まりだと言う説を聞いたことがある。

まあ、ことの経緯はともかく、飯の食い方ひとつでこちらがどう評価されるかなどを気にしていられるかと思う。一方、汚らしく食べるのはやはり気分の良いものではない。周囲が気持ちよく食べることの出来る食べ方が出来れば良いのだろうと、今では達観(?)している。

しかし、ヨーロッパ暮らしを長く続けたおかげで、ナイフとフォークには違和感がない。フォークの「腹」に大量のライスやジャガイモのピュレーを乗せる技術は可成り上達したし、スプーンを真っ直ぐ正面から口に入れるのは、そうしてみるとスプーンの形が人間の口にぴったりと合うからだと勝手に解釈して納得している(なぜなら、犬の口にはあの形状は合わないではないか)。我が家では、お好み焼きをナイフとフォークで食べる。これは最高である。鉄板の上でコテで「はふはふ」出来ない状況下では、お皿の上のお好み焼きを、ナイフとフォークで食べるのがいちばん食べやすい。赤ワインまたはひやしあめが合う。ルネッサ~~ンス!

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コメント

最小限の動き、なるほど~と思いました。それに違いない。
ドイツではみんな適当にやってたんで、私も一気に気がラクになりました。あ、私がそれなりのレベルの人としか交流してなかったのかもしれませんが~
気持ち良くおいしく食べようとしているのがハタから見てわかればOKですよね。
ところで私は左利きだから、左にフォークというのは好都合なんですが、右利きの方にとってはどんな感覚なんでしょう?

投稿: あむ | 2008年7月10日 (木) 23時59分

あむさん♪

100頂きました(謎)♪

右利きの左フォーク、問題ないと思います。すぐ慣れるし。むしろ、ナイフを使う方の手に少しだけですが力が入る方が良いかも? 
あのナイフも、「ノコギリのように前後に動かせば切れる」ようになっているのですが、包丁のように上から押し付けて切っている人が多いように思えたりする……

投稿: 樅の木 | 2008年7月11日 (金) 11時22分

樅の木さん♪
日本からなのでコメントが書けま~す!
うれし~。
そういえば、日本で常識のお食事マナーは、全くドイツでは聞いたことがないですよね。ナイフとフォークのことも、樅の木さんに言われて初めて気がつきました。
スープの飲み方について、日本人同士でも意見が分かれたことがあって、「スプーンを手前から向こう側に押してすくう」という人と、「むこう側から手前にすくう」という人がいるんです。イギリス式で習った人と、フランス式で習った人の違いじゃない??と、わからないままに中途半端な結果で、とりあえず納得しておきました。
それにしても、樅の木さん、お好み焼きをナイフとフォークで食べるなんて、なんて貴族なんでしょう♪!! それいいかもしれませんね! いい考え。今度やってみます☆

投稿: mihana | 2008年7月11日 (金) 14時09分

mihanaさん♪

お帰りなさい♪ ネットカフェからですか? とにかく普通にコメント出来たのはなによりです(^^)。

スープの飲み方も意見が分かれてますか。まあ、ずずず、とやらなければええんやろ~、と言う感じですが。

お好み焼きをナイフとフォークで喰らうのはお勧めです。でも、お好み焼き屋のテッパンの上ではやらん方がいいですよ。「ねえちゃん! テッパン傷むやろがい! 身体で払ろてんか」と言うことになりかねないので、自宅でどうぞ。ワインと合わせたくなりますよ。

投稿: 樅の木 | 2008年7月11日 (金) 15時07分

おばあちゃんの家からです~。
知らない間に「光」になってました。
はや~~~い。
ここでは誰もネットを使わないんですが、何のために光に??(笑)

投稿: mihana | 2008年7月13日 (日) 17時46分

mihanaさん♪

もしかしたら、テレビで何かあったかも知れません、「光」と関係あるものが。わたしも、良くは知らないけど (^^;)

投稿: 樅の木 | 2008年7月13日 (日) 21時38分

樅さま♪ そ~いえば、スパゲティを食べるときにスプーンの中でクルクル・・・と面をフォークにからめるのは邪道だって聞いたことがあります。イタリア人はスパゲッティもナイフとフォークで食べるって。
話は少しだけそれるのですが、大昔ドイツで働いていたころ(関西系の銀行だった!そ、あの#のマークの…)日本人のオッサンで1人、やたら舌鼓を打つ人がいたのです。最初、一緒に食事したドイツ人がドン引きしてましたね…

投稿: ありちゅん | 2008年7月19日 (土) 23時46分

ありちゅんさん♪

わたしも、その辺は聞いたことがあります。ドイツ人の友人でイタリアにばかっかりウアラウプに行く家族がいたのですが、彼が言うには「イタリア人はフォークで麺をすくうと、フォークを遙か上方に持ち上げて麺をだらりと垂らし、大口開けて麺を口に収納する」と言うことでした。これはスタンダードではないだろうと思うのですが、ありそうなことですね。

わたしは、舌鼓は打ちませんが、食後に腹鼓を打ちます。

投稿: 樅の木 | 2008年7月20日 (日) 11時13分

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