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2012年8月 6日 (月)

【Grab】 墓

Grab(グラープ)(中):墓 …… これは一基一基の墓のことを言う。墓地はFriedhof(フリートホーフ)と言う。

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我が家の墓は京都市内の某寺にある。実は元をたどれば寺の血を引く我が家である。墓所はその宗派の本山の本廟にあるのだ。最近の納骨は、わたしが十八歳の時であるからもう大昔だ。母と一緒に祖父の骨を納骨しに行った。まだぎりぎり高校生だったので、詰め襟を着て行ったと記憶している。ここだけの話(って公開しているのだが ^^;)、我が家は母系である。父は納骨については、「仕事あり、興味なし」という状態で、納骨には来なかった。母方の誰かが(所詮養子やからな……)と呟いたことをかすかに覚えている。

十八歳と、脳の記憶機能はすでに出来上がっていたのではないかと思われる時期の話ではあったが、今になって思い出そうとしても、何をどうしたかなかなか思い出せない。寺務所で手続きをして、お坊さんと一緒に墓まで行き、墓前でお経を唱えて貰って、墓石をずらして小さな骨壺を墓の中に入れた。確か、墓に入れたのは小さな、掌に載るぐらいのサイズの骨壺であった。

母が亡くなったので、母の骨を墓に入れなければならない。そして今、実家の母の祭壇には大きな骨壺と小さな骨壺が並んでいる。これは、別に頼んだわけではないのだが、穏坊さんは小さいものを「本骨」と呼んでいてここに、身体の各部から少しずつ骨を取り分けて入れていた。そして大きな骨壺には残りの骨の大部分を入れた。そして、それでもまだ残った骨は「廃棄」された。

骨を「廃棄」すると聞いて驚く人も多いだろう。調べてみると、東日本は全収骨、西日本は一部収骨という風になっているそうだ。事実、北海道で行われた、わたしの義父の葬儀では全収骨であった。穏坊さんがざくざくと木のへらで骨を刻んで、見事にぴったりと全骨をひとつの骨壺に収骨したのを覚えている。しかし、今回の母の骨上げでは一部収骨だった。母は小柄であったせいか、一部と言っても、八割方は収骨できたように思う。

さて、その母の遺骨を満中陰の後で納骨することになるのだが、うろ覚えながら(あの墓にはこんな大きい骨壺は入らないな……)と感じていた。わが親戚筋からは、「うちの嫁さんの納骨は、骨を壺から出して墓の中に入れたな。そしたらそのうちに全部土に帰るやろ」という声も聞かれた。そこで、わたしは取りあえず京都の本廟まで出掛け、まず墓の内部を覗いて見た。場所はない。明らかであった。せいぜいあと二人分(随分リアルな話だ……)。寺務所で質問した。するとその答えはおおよそで、「やっぱり壺のまま納骨すると場所なんかすぐになくなるんで、そのたんびに新しい墓作る言うのもなんですしね。今は、晒しの布にお骨を包んでお墓に入れてます」と言うものだった。これならば、やがて風化するので場所がなくなることはないと言うわけだ。

ところで、その本廟の我が家の永代墓の近くに、我が家と同じ○○家の墓石があった。今までは、そんなところにそんな墓があることに気付くこともなかったのだが、今回は何故かその墓石が「どかん」と目の中に飛び込んできたのだ。寄ってみると、墓石への刻印からこれは親戚筋の墓であることが知れた。母の叔父、わたしから見ると大叔父にあたる人の戒名でしかあり得ない戒名が刻まれていた。今はわずかとは言え、同じ源から血を分けた人の墓であった。思わぬ「出逢い」に驚き手を合わせた(帰宅後、系図を調べると、その記載事項からもそれが母の叔父の墓であることに間違いないことがわかった)。

今思い起こせば、母は自分の血筋との付き合いを大切にしていた。自分はひとり娘で兄弟姉妹がなかったこともあるだろうか。系図や過去帳を見ると、面識はないけれど名前だけは母からよく聞かされていた人の記載が沢山あった。四十九日までの間、人はまだ完全にはあの世に行かないと聞く。直系の息子が墓の様子を見に行くので、母もついて来て「ほら、あそこにもあんたの血筋のお墓があるねんで。行ったら手ぇぐらい合わせるねんで」と教えてくれたのかも知れない。

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コメント

樅さま

ご無沙汰しております。お母様が亡くなられたこと、今日知りました。遅くなり、大変申し訳ありません。謹んでお悔やみ申し上げます。いろいろお辛いこともおありだと思います。私の母も記憶を失いつつあるので、子供として母を想う気持ち、とてもよく分かります。こんな時、気の利いた言葉の一つもかけて差し上げられないのが情けないのですが、樅さまもお疲れのことと思います。まずはゆっくりお休みくださいね。

投稿: ありちゅん | 2012年8月 6日 (月) 21時34分

ありちゅんさん、

コメントありがとうございます。
母はもう2年以上も病院で寝たきりだったので、むしろ「やっと楽になったなあ」という感が強いです。

こちらこそ、まあ、身辺がこんな状態だったので、ネット付き合いもクソもない状態で失礼しております。また、ブログを覗きに参ります^^

投稿: 樅の木 | 2012年8月 6日 (月) 22時45分

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