« 2016年10月 | トップページ | 2018年3月 »

2017年3月18日 (土)

【Unwissenheit】 無知

Unwissenheit(ウンヴィッセンハイト)(女):無知、ある事柄について知らない(知らされていない)こと …… ドイツの慣用句に "Unwissenheit schützt nicht vor Strafe" というものがある。これは「知らなかったからといって罰から逃れることはできない」という意味で、もう少し日常的に言うなら「知らなかったでは済まされない」と言うことだ。

********************

 前回のエントリで悪質な消費税転嫁拒否を行っている業者について書いた。女性などから忌み嫌われて、単に「G」と名前さえ呼んで貰えない生物に関して、「一匹いれば三十匹はいると思え」という通説があるが、こういう業者も同じことかも知れない。今回は、悪質とは言えないが、消費税に関して何とも情けない勘違いをしていた事例について書いてみる。
 ここも、わたしが登録しているディレクトリ経由で引合があったエージェントだ。仮にB社としよう。ここは社員4~5名程度で回している小規模な会社で、社長自らが引合のメールを送ってきた。コレスポンデンスからの印象はたいへん良く、真面目に仕事をしている会社だなと感じていた。最初の数回の引合はスケジュールが合わなくて流れたが、先般ついに目出度く成約となった。スケジュール的な理由で成約にならなかったときも、価格についての交渉はしていた。外税での価格設定を伝えていた。先般成約に到った際も、○○円/原文1ワード(+消費税)と明記した。ところが、納品後先方から送られてきた明細書には消費税分が書かれていなかったので、消費税分が抜けていると指摘して訂正を求めた。
 そもそも、ここに到るまでのコレスポンデンスで、こちらが○○円/原文1ワード(+消費税)で業務を請け負うことを明記し、それを受けて業務委託があったのであるから、納品後発行した(支払い予定の)明細書に消費税が記入されていないのは、それだけで違約であり、重大な業務ミスだ。ところがずいぶん高飛車な返事が返ってきた。詳細は省くが(本当は書いて曝したくて仕方がないのだが自主規制)、このB社社長氏は源泉徴収と消費税を混同していたのだ。だから、(こっちはきっちり源泉徴収をして税務署に払っています。あなたに消費税を支払う必要がありますか?)という、頓珍漢なレスを寄越したのだ。
 ご存じの方はご存じだろうが、源泉徴収とは所得税であって、消費税とはまったく別物だ。別々に処理しなければならないものだ。このB社は10年以上続いている会社だと言うが、すると10年間消費税と源泉徴収を混同したまま経理を行っていたのだろうか? 最終的に、こちらから消費税分と源泉徴収分とを明記した請求書を送付した。すると「こちらの認識と一致しているので、請求書に基づいて支払いを行う」と返事があったが、一致していたらこんなごたごたは起こっていない。「最初は」認識が一致していなかったが、何回かのやり取りを通じて一致するに到った(=間違いに気づいた)ということだ。おそらくこれまで、外注のフリーランス翻訳者から消費税など請求されたことがなかったのだろう。わたしとの揉め事を通じて学習できたはずなのに、またわたしもこれに関するコレスポンデンスにずいぶん時間を取られた(迷惑した)のに、彼は謝らずにとぼけた。仕事ぶりは真面目な印象だったので残念な限りだ。
 実は、消費税と源泉徴収を混同していた業者はもう1社あったのだ。ただそこは、すぐに税理士と相談したので、数日を要したが特に揉めることはなかった。そことは現在も取引が続いている。ひょっとしたらこのような勘違いをしている業者がまだ存在するかも知れない。わたしが体験した勘違い2社は、どちらも個人事業主が会社組織を作ったというほどの規模の会社だった。経理の専門家を雇っているのかどうかは知らないが、おそらく社長個人の認識で経理業務も行っているのだろうと思う。わたしも経理はあまり得意ではないが、どうしたら源泉徴収を消費税と混同できるのか理解に苦しむ。

翻訳ブログランキング参加中

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月 8日 (水)

【Mehrwertsteuer】 消費税

Mehrwertsteuer(メーァヴェァトシュトイヤー)(女):消費税 …… 消費税と訳語を当ててはいるが、原語の意味合いは「付加価値税」ということになる。Guten Tag を「こんにちは」と訳すのと同じだ。

********************

 以前、消費税のことでいろいろと考えさせられることがあった。
 とある翻訳エージェント(以下、A社)から、わたしが登録しているディレクトリ経由でトライアルの打診があった。このトライアルは特定のジョブのトライアルではなく、A社に登録するためのトライアルだった。すなわち、ディレクトリを見ると経験豊富そうなので一度実力を見させて貰えませんか、実力があるようなら弊社に登録させて頂きたいです、というものだ。わたしはトライアルを受け合格した。結構面倒くさい登録手続きがあり、たくさんの(電子)書類が送られてきた。その中に「消費税課税事業者に対しては消費税分を加算させて頂いているので、課税事業者の方は申し出てください」とする旨の文書が含まれていた。そしてそこには、「課税事業者とは何か」の定義も記載されていた。事業者なら誰でも知っていることであるが、基準期間の課税売上が千万を超える事業者のことである。まあ、ざっくり言えば、年間売上げ1000万円以上の事業者と言うことだ。この文書の目的は、明文化されてはいないが、「消費税の納入を免除されている事業者には消費税を支払うつもりはない」ことを伝えることであることは明らかだ。これはしかしおかしい。

 A社の送りつけてきた課税事業者の定義には「基準期間の課税売上が1000万円を超える事業者は、消費税を納める義務がある。これを課税事業者という」とある。ならば、非課税事業者の定義も自ずから導かれる。すなわち、「基準期間の課税売上が1000万円を超えない事業者は、消費税を納める義務がない(または免除される)。これを非課税事業者という」ということになる。ここでA社は、「だから売上げ1000万未満の業者には消費税を払いません」と主張しているわけだがこれは間違いである。

 消費税法の別表第一には、 国内において行われる資産の譲渡等のうち消費税を課さないものについて定められている。これらはすなわち消費税法の例外である。消費税を課さないものをここでこうして定めている以上、それ以外の「国内において行われる資産の譲渡等」ざっくり言えばそれ以外の国内取引には「すべて」消費税が課せられるのである。

 例えば、ある小さな流行らない店があるとして、その店が1000円の品物に消費税を乗せて1080円で販売しているとする。レシートにも消費税分の金額が明記されていたりする。誰も何も不思議に思わない。そして、その店の売上げが1000万を超えるかどうかなど誰も気にしない。その店は消費税を徴収しているが、売上げが1000万円に満たない場合、諸費税の支払いは「免除」されるのだ。免除されたからと言って、徴収した消費税を返しに行ったりはしない(そもそも無理)。また、10個300円でたこ焼きを売っている店はどうか。値段が丁度の数字であるため、いかにも消費税を取っていないように見えるかも知れないが、たこ焼き代金300円のうち、22.2円は消費税である(300÷108x8)。ただ、売上げが1000万を超えなければ、この消費税分を支払うことは免除される。これと同じことで、わたしのような個人事業主も、年間売上げがいくらかなどは気にせずに消費税を請求することができる。売上げが1000万に満たなければ、徴収した消費税の納入は免除される。つまり、消費税とは、低額所得者には少しオイシイ制度だと言える。そもそもその年の売上げがいくらになるか、1000万を超えるか超えないかなど、100%予測することなどできない。言葉を換えれば、国内取引において消費税を徴収した事業者のうち、誰が徴収した消費税の支払いを免除されるかは「国が決める」ことであって、「A社のごとき一介の事業者が決めることではない」のだ。

 さてこのA社は、わたしの指摘を受けてすぐにわたしの要求を呑んできた。それもわたしがそのメールを送ってから数時間以内という早業で。もし、A社が本当に消費税について誤解していて、これまではその誤解に則って業務していたのであれば、わたしの指摘を受けてそんなに早く返事をすることはできない筈だ。これは経営上の重大事項であるので、会議のひとつやふたつこなさなければ返事など書けるはずがない。それを、数時間以内に返事を送ってきたということは、「法律を盾にとってうるさく言う奴についてはこう対処する」というマニュアルがあるのだ。条件を呑んで満足させて黙らせるということだ。そして、ゆくゆくは取引関係は消えるだろうと、A社との取引が始まってから薄々予期していたのだが、1年少し経った頃、いつもは淡々とやりとりしていた業務上のコレスポンデンスに「季節の移ろい」など情緒的なことが書かれ、フレンドリーな雰囲気が演出された後、予想通り取引はフェイドアウトした。宥めてすかして黙らせてから切る。それは自分たちのやっていることが違法であることを認識していることの証拠だとわたしは思う。こういう悪質な転嫁拒否業者もいれば、この他にもこの他の種類で、消費税についての心得違いがある。それについては、別の機会に譲る。
 

翻訳ブログランキング参加中

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2016年10月 | トップページ | 2018年3月 »